きょうはビールを呑んでいない…。
いや呑みたくってならないのだが呑めないのだ。
またもや仕事が終わろうとしている「魔の５分間」に「やってしまった！」。
空き缶を切断しようとしていて突然、爆発！
何が何だか分からず呆然としていたら右手がヒリヒリ。
すぐに水を流し続けたが痛みは増すばかり。
早く家に帰って氷りで冷やそうと車に乗ったのだがハンドルさえうまく扱えない状態だ。
外科病院を探すが一軒目は廃業したのかやっておらず、次の病院を探すがそこも何故か休業状態。
道歩く人に「外科病院はないですか？」
意外と歩いている人ってあてにならないものだ。
「救急病院へ行かれたら」
そんなの道が正反対なので、さらに車を進め保育園があったので、そこの迎えに来ていたお母さんに聴けば
分かると思ったのに、これがまた「さぁ、どこにあるかね？」
何とそこからわずか進んだ所に「○野外科」があるではないか！
いつもビールを買いに行く店の近くだった。
やさしい看護婦さんがすぐに氷りで冷やしてくださった。
しばらくして先生の治療が始まり、「顔でなくってよかったね！」
軟膏をぬってもらい麻薬の次ぎに強いと言う「傷め止め」をその場で飲む。
「きょうはビールダメけ？」「３６５日欠かさずのんどるもんやさかいに」
こんなこと言ったら、たいがいな先生は怒るものだが、この先生は話しの分かる人だった。
「きょうぐらいお茶、スイカなんかで我慢しられ」
アルコールが炎症をひどくするそうなので、ぐっと我慢してきょうはノーアルコール。
帰ってくるといつもの時間より遅いので妻は心配していた。
グルグルに包帯を巻いた右手を見てびっくりしていた。
「ああ、きょうはステーキもあってビールには最高のおかずばっかりなのに」
ビールを呑まない夕食なんかちっとも冴えない。
しょぼんとしていると妻がハッパをかけた。
「生のない顔して！元気だされ！」
「だいたい近頃、あんた精気がなさすぎる！」
妻のありがたいビンタだった。
だけどビールが呑みたいな！